人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ツィメルマン@ウィーン楽友協会

11月24日にウィーン楽友協会大ホールでクリスティアン・ツィメルマンのピアノリサイタルを聴きました。
まだ感動でぼーっとしているのでこの記事はだらだらと長いです。上手くまとめられなかったことを最初にお断りしておきます。
プログラムは↓
ツィメルマン@ウィーン楽友協会_f0021504_211846.jpg


モーツァルト:ピアノソナタ KV310 a-moll
ベートーヴェン:ピアノソナタ Op. 53 “ワルトシュタイン”
ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
ガーシュイン:3つのプレリュード
バツェヴィチ:ピアノソナタ第2番

個人的にはモーツァルトのa-mollソナタが非常に楽しみで、事前に何度も自分で弾いてみました。予習ばっちりです。(笑)

楽友協会の外観です↓
ツィメルマン@ウィーン楽友協会_f0021504_212885.jpg

(別名「黄金のホール」と呼ばれる大ホール内の写真は以前キーシンを聴きに行った時の記事をごらん下さい)

チケットは楽友協会HPでオンライン予約が出来ます。以前は料金カテゴリーの指定だけだったのが、今シーズンからは座席の指定も出来るようになりました。
音響のいい大ホール、中でも中央バルコニー席は最高だと思うので「絶対に取るぞ!」と意気込んだのですが・・・・・・・・・
平土間(1階)最前列ど真ん中の席が空いているのを発見。手が勝手にそこをクリックしてました! ああ、ミーハーな私。

ツィメルマン@ウィーン楽友協会_f0021504_5574729.jpgさて、会場で自分の席に着くと・・・うわっ、ピアノがすぐ目の前にある! 手を伸ばせば届きそう! ドキドキドキドキ・・・
心臓の音が隣の人にも聞こえるんじゃないかと気にしていたら、係員が舞台に出てきました。
ああ、ドイツ語だ、何言ってるかわからないよ~。聞き取れたのは「モーツァルト、a-moll、C-dur」だけですが、「最初の曲はC-durソナタに変更」と理解しました。
(ああ、あんなに楽しみにしていたのにa-mollソナタが聴けないなんて~~~!)

いよいよツィメルマン登場、半年前に西宮でも聴いたモーツァルトのC-durが美しい音色で奏でられました。
西宮では「これでもかっ!」というほど装飾音が付きましたが、ウィーンでは非常にシンプルに弾きました。
ああ、きっと西宮ではノリノリだったんだ、即興でたくさん装飾音もつけたんだ、なのにあんなことになってしまって本当に残念・・・。

それにしても私の席はツィメルマンのすぐそばです。近い、近すぎるくらい近いです。
ピアノに近すぎて会場全体に響く音が聞こえないのですが、その代わりにツィメルマンの鼻息が聞こえる、うなり声も聞こえる、ピアノに合わせて歌う声まで聞こえます。

2曲目はワルトシュタイン。これは昔(もう20年以上前?)の日本公演で聴いたことがあります。
あの時は流れるような美しいベートーヴェンでしたが、今回は力強くたくましいベートーヴェン。
あまりの熱演に第1楽章が終わると拍手が起こりました。
ツィメルマンは嬉しそうに客席を見渡してから第2、第3楽章を弾きました。
第3楽章はだんだんテンポが上がって「あの~、そんなテンポで大丈夫ですか~?」と気になるほど。オクターヴのグリッサンドが流れるようでした。ため息♪

後半は私にとっては因縁のラヴェル。
西宮ではこの曲の終了間際に客席から雑音が起こり、ツィメルマンは怒ってお辞儀もせず恐い顔でしたが、この日はそういうアクシデントも起こらず、美しい音色を心行くまで堪能しました。

ツィメルマンとガーシュインはちょっと意外な取り合わせのような気もしますが、ヤシンスキ先生(ツィメルマンの師)が「クリスティアンは休み時間によくラブソディー・イン・ブルーを弾いていた」とおっしゃっていたので、ツィメルマンにとっては手馴れた曲なのでしょうか。
この曲、ジャズ好きの夫がガーシュインの自作自演を含めいくつかCDを持っているのですが、聴きなれた演奏とは違ってちょっとお上品過ぎるという気もしました。

バツェヴィチのソナタ、東京公演を聞いた友達が「すごくよかった。ツィメルマンはこの曲を聞かせたかったんだと思う」と言っていたので楽しみにしていました。
初めて聴く曲ですが、すごい技巧と不思議な美しい響きで素晴らしかったです。
(若い頃ツィメルマンはこの曲を録音しているようです。今でも手に入るのかなあ?)
大熱演で、弾き終わった後ツィメルマンは少しよろけるようにして立ち上がりました。

鳴り止まぬ拍手に応えてアンコール。椅子に座って「イラクがなんとかかんとか・・・」ああ、またドイツ語だから何言ってるかわからない。(涙)
弾き始めた曲はベートーヴェンの悲愴ソナタ、第1楽章です。
イラクの戦争に反対し、犠牲者に捧げる演奏は鬼気迫って背筋がぞくぞくしました。
296小節目の和音を鳴らしてそのままじっと動かず・・・ものすごく長いフェルマータに続いて怒涛のような終結。
私はこの時初めてこの曲が「悲愴」のタイトルを持つ理由がわかったような気がしました。
by ballade4fmoll | 2006-11-27 03:08 | 音楽 | Comments(26)
Commented by kimukimu at 2006-11-27 08:18 x
すばらしいですね、生の感動が伝わってきます
やっぱりコンサートはいいですね、空気の振動が肌で感じれるからねw
Commented by Sifare at 2006-11-27 14:56 x
堪能されたご様子良かったですね~!素晴しいホールと聴衆、演奏者のパフォーマンスも更に楽しまれたことでしょう。ちなみに「ワルトシュタイン」大好き!なので聴きたい~です。

分かります~っ。私も思わず近くの席を取ってしまうタイプです(笑)演奏者がどう表現してくれるか、それを近くで息遣いからも楽しめますものね。
Commented by ballade4fmoll at 2006-11-27 19:04
kimukimuさん
そうです、生で聴くと感動が全然違います。
今度はもっと後ろの席を取って会場全体の響きも楽しみたいです。
Commented by ballade4fmoll at 2006-11-27 19:06
Sifareさん
ツィメルマンの歌声が聴けて感動しました。ずっと歌ってましたよ。(笑)
今度は中央バルコニーの席を取りたいです。
Commented by 青猫 at 2006-11-27 20:51 x
こんにちは、青猫と申します。はじめまして。しばらく前から楽しくこちらのブログを拝見させていただいています。ツィメルマンのファンなので、ウィーンのコンサートの素晴らしいレビュー、とても楽しく読ませていただきました。
ツィメルマンのワルトシュタイン、すっごく聴いてみたいです!しかも、楽章間で拍手が起きるほどの熱演なんて…。
バツェヴィチは、日本公演もものすごい熱演でしたよ。ノリノリで縦横無尽って感じで、本当に圧倒されました。あ、若い頃の録音はOlympiaからCDが出てますが、廃盤になっておりますです…。
それでは、またよらせていただきますね。
Commented by みゅー at 2006-11-27 21:35 x
こちらではおひさしぶりです(謎笑)
チィメルマンいいですねえ。
それに素晴らしいホールで聞かれたのですね。
私も演奏者の息づかいが聞こえるような席をいつもとります。
素敵なレポ感動が伝わり私までぼーっとしてます。
Commented by Yoshimi at 2006-11-28 00:06 x
お昼休みに会社で読んで、もうため息が出ましたぁ。
鼻息と歌声って素敵~!実は、私も若い頃、オケの定期演奏会を一番前で聞いていた事がありまして、いろんな人の息づかいや歌声聞きました。一番前って本当に同じ空気吸ってるんだぁ~っっっっっ!ってドキドキしてきますよね。(*^_^*)後ろの席と言わずに、やっぱり一番前が良いですよぉ・・・。いろんな人の歌声聞いてください。あ、上にいるのは青猫さんだ。。。
それにしても、ちゃんとその国の言葉で、スピーチをし続けているんですね。素晴らしいなぁ・・・。
Commented by ballade4fmoll at 2006-11-28 04:40
青猫さん、はじめまして。コメントありがとうございます。
ワルトシュタインは昔の演奏に比べて骨太になっていました。
それでもやはり優雅で繊細で、うっとりしました。
バツェヴィチの若い頃の録音も是非聴いてみたいですが廃盤なんですね、残念!
ツィメルマンって録音は少ないのに廃盤が多すぎると思いませんか?

これからもどうぞよろしくお願いします。
Commented by ballade4fmoll at 2006-11-28 04:45
みゅーさん、お久しぶりです。
バツェヴィチよかったです~♪ あんな素晴らしい曲を大熱演で聴けて本当に幸せです。
今でもまだ感動の余韻でボーっとしています。
Commented by ballade4fmoll at 2006-11-28 04:47
Yoshimiさん
鼻息と歌声の他に、お辞儀をする時は3回瞬きをしてから頭を上げるとか、いろいろ発見がありましたよ。
2回でも4回でもなく必ず3回なんです。
緑のペンと同じく彼のこだわりなのでしょうか?
Commented by rbhh at 2006-11-28 07:49
おかえりなさい、バラードさん。素晴らしい演奏会だったんですね!記事を読みながら、感動のあまり涙が出そうになったくらいです。
次回はご一緒してドイツ語通訳させてください(笑)!!
Commented by ballade4fmoll at 2006-11-28 17:40
rbhhさん
次回は是非是非ご一緒しましょう! ドイツ語通訳していただけるなんて嬉しいです~~!
自慢じゃないけど第2外国語はドイツ語だったのにダンケとビッテしか言えません。(大恥)
ベルリンパユ様ツアー(←勝手に命名)も実現させたいです。
Commented by Yoshimi at 2006-11-29 00:29 x
3回まだたき・・・。と読みながら、自分も3回まばたきしちゃいました・・・。お目々パチパチパチ・・・あぁ私って馬鹿だわ。
そういえば、小澤征爾さんは、ステージに出る前に、必ず舞台そでで木でできた所(柱とか)をたたいて出てくるんですが、それも3回だったか?あら、4回だったかなぁ。何か自分の中にリズムがあるのかしら。ちなみに、手帳に音楽会の予定を書き込む時は、必ず緑のインクのボールペンを使ってます・・・。って真似した訳ではございませんが・・・。あぁ、そんな事どうでも良いですね。あはは。自分にもコンサート会場の興奮とか熱気が伝わってきました。素敵なレポートありがとうございます。
Commented by ballade4fmoll at 2006-11-29 05:04
Yoshimiさん
私も3回まばたきしました。癖になりそうです。(笑)
緑のペンをお使いなんですね。私も負けてられないわ~って、勝負してどないするねん!(笑)
ツィメルマン初来日の時にサインをお願いするべく色紙とサインペンを持参したのですが、その時すでに自分の緑のペンでサインしてくれました。
なぜ緑???
Commented by Yoshimi at 2006-11-30 00:12 x
そういえば、緑を使うという話は伝わってきても、何故緑色なのかっていう理由は聞いたことないですね。彼のラッキーカラーなのかな。でもゴールドや、シルバーや、ブルーよりも、緑の暖かさとか安心感とか、彼に似合ってるなぁ・・・と勝手に思っておこう。(笑)
85年に来日した時のチラシが出てきました。ツルツルとした若い顔してます。ブラームスの2番協奏曲を小澤さんと新日本フィルで。その次のチラシは、もうたっぷりの髭で・・・。髭のない顔みたいなぁ・・・とだんだん演奏から話しがそれていきますね。うふふ。
Commented by bbwan at 2006-11-30 01:42
balladeさんのレポートを読んで、こっちまでその熱演が伝わってきた感じがします。 やっぱり観客の質は演奏者にとってとても重要なものだと思います。 そういう意味でも耳の肥えた、ウィーンの観客はすごいと思います。 
Commented by ballade4fmoll at 2006-11-30 05:56
Yoshimiさん
昔のチラシですか! うわ~、見たい見たい見たい~!
実家には初来日以来のチラシやプログラム、ツィメルマンが表紙の音楽の友(超美形ですよ~♪)があるはずなのですが、どこにしまいこんであるのやら・・・。
今も渋くて素敵ですが、若い頃は本当にため息が出るくらい美青年でしたよね♪
Commented by ballade4fmoll at 2006-11-30 06:00
bbwanさん
だらだらと長い感想文でお恥ずかしいのですが、当日の雰囲気が少しでも伝わったなら嬉しいです。
ウィーンのコンサートでは演奏家と聴き手がお互いを高めあっているような気がします。
プラハのコンサートにも行ってみたいです。スメタナホール、外から見ただけなので中に入ってみたいです♪
Commented by Yoshimi at 2006-12-01 01:37 x
バラードさん、こんばんは!あ、おはようございますかしら?
ちょっとサイズの大きな画像を添付してメール送りました。(^_^)v
届くかなぁ・・・。o(^o^)o ワクワク
Commented by ballade4fmoll at 2006-12-02 00:42
ありがとうございますっ!!!
メール届きました♪ 後でお返事差し上げますね。
Commented by petit viola at 2007-01-22 08:54 x
バラードさん、今日は♪

かぶりつきでツィメルマン@ウィーン学友協会!
なんて贅沢なんでしょーーー。
バラードさんが、ミーハーなら私は何になるでせうか(恥)。
西宮公演、思い出します・・・本当に最初はものすごくご機嫌でのりのりでしたよね?あんな事さえなければ、日本公演で最高のものになったかも知れないと思うと残念です。
バラードさんの影響で、キーシンをすごく聴いてみたくなりました(^^)。
Commented by ballade4fmoll at 2007-01-23 05:02
petit violaさん
かぶりついてしまいました~~♪ 
西宮公演、最初に登場した時、なんだかスキップしてるような軽やかな足取りでしたよね?
茶目っ気たっぷりのモーツァルト素晴らしかったです。
それがあんなことに・・・誰やぁ、携帯鳴らしたんわ~!
キーシンもいいですよ。昔は「二十歳過ぎたらただの人でしょ」と思っていたのですが、神童から巨匠になりましたね~。
来月キーシンを聴きにまたウィーンに行くのですが、今度は2階バルコニー席を取りたいです。

あ、それからここだけの話ですが、昔ポゴ様に走りそうになりました。
ショパンコンクール落選直後はメチャメチャかっこよかったですよね~♪
Commented by 青猫 at 2007-01-23 22:26 x
こんばんは。
ツィメルマンがスキップ!!想像してウケてしまいました。でもご機嫌麗しい時(?)って、足取りが弾むように軽くて、確かにスキップ寸前って感じかも…(笑)。
私もキーシンは避けていたのですが(あまり若い頃から騒がれてると何となく敬遠してしまう…)、最近、初めてCD(ショパン)を聴いてみました。素敵ですね(^^)。
Commented by ballade4fmoll at 2007-01-24 05:15
青猫さん
そうなんです、スキップでしたよ、あれは!
ヒゲ面でも可愛いお方ですわ♪

キーシンは私も敬遠していました。神童と騒がれても「どうせ指がものすごく動くだけでロボットみたいな演奏に違いない」と思い込んでいたのですが、実演に接して目からうろこが落ちました。
超絶技巧の曲よりも、シューベルト等しっとり聴かせる曲の方私は好きです。
Commented by petit viola at 2007-01-25 12:42 x
こんにちわ♪
そうそう、スキップ寸前、小走りか?ってぐらいの足取りでしたね(笑)。
で、お辞儀もそこそこに椅子に座るか座らないかで弾き始めたので、私は心の準備が出来てなくて、焦りました~。
なんせ、生ツィメは始めてだったので、「おぉ~こういうスタイルの人だったのか~」と驚きでした。

ラヴェルの、いっちばんいい所で(最後の最後の音がホール内で響こうとした時でしたね)、ビーッビーッって(怒)。
しかも、よせばいいのに、その音を止めようと鞄から取り出したのか、もっと大きな音になって・・・。
2階からバッグを投げてやろうかと思いましたよ。そうなれば、私は追い出されるでしょうが、ツィメ氏的にはちょっと気持ちが収まったかなぁ、なんて(な訳ないですね)。
西宮公演の話は尽きないです。やたら、咳が大きいし、拍手は常に早すぎるし、ブラボーじゃないのに、ブラボー言うし、あんなの今まで経験した事ないです(涙)。

ポゴさん、ここだけの話、格好良かったです(笑)。私はツィメ氏から乗り換えました、ごめんなさい。 でも今はこうやって元の鞘に・・・(ちゃう)。
Commented by ballade4fmoll at 2007-01-26 04:56
本当に最悪のタイミングでしたよね、あの携帯の音!
誰や~~~!
ツィメルマン自身が「私のコンサートには最高の聴衆が来てくれる」と語っているのに、西宮は鬼門になったかも。
最後の「ブラボー!」にも参りましたね。それにb-mollソナタの最後の音が鳴っているのに拍手するのも閉口しました。
本当にきりがありません、西宮の話。京都府立図書館オフ会(勝手に決めてる)のテーマですね。


ハンガリー人の夫とブダペストで暮らす関西人のひとりごと


by ballade4fmoll

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

カテゴリ

自己紹介
ハンガリーあれこれ
ブダペストの風景
食べ物
野球、スポーツ
音楽、観劇
映画
言葉

日本
乗り物
よもやま話
生き物

最新の記事

よいお年を
at 2018-12-31 20:48
こんなん売ってた!
at 2018-07-02 00:55
古いピアノ
at 2018-05-23 16:07
リスト チャリティコンサート
at 2018-05-21 02:13
バラーティ君のモーツァルト
at 2018-04-16 18:15

以前の記事

2018年 12月
2018年 07月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
more...

お気に入りブログ

外部リンク

メールアドレス

055.gif ballade4fmoll@gmail.com

ASPアクセス解析

検索

その他のジャンル

ブログパーツ

結婚相談所
  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用しないで下さい。

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

海外生活

画像一覧