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聴き比べ 

今回はこの演奏を聴きながらお読み下さい↓



アルトゥール・ルービンシュタインのピアノでショパンのノクターンOp.32-1 H-durです。

毎週土曜日の午後3時からバルトークラジオで“Egy zenemű - több előadás”(一つの曲を複数の演奏で)という聴き比べの番組があります。
(バルトークラジオはインターネットでも聴けます。興味のある方はこちらの上部中央のELŐ ADÁSをクリックして下さい)

いつだったかヴィヴァルディの「四季」を取り上げた回は実に興味深かったです。
バロックは演奏家によって使う楽器も違うし(当時のもの、復元楽器、現代の楽器)、奏法もバロック奏法と現代の奏法は全然違います。
それに調律も今と昔では違うとなれば(調律については以前に少し触れたことがあります。こちらをご覧下さい)、とても同じ曲とは思えないような演奏が次々と紹介されました。
カール・リヒター、アーノンクール、ノリントン、ピノック、そしてカラヤンが取り上げられたと記憶していますが、あの有名な「四季」にこれだけ異なる解釈があるのかと感心するやら驚くやら。

先日のテーマはショパンのノクターン。有名なop.9‐2を含む数曲が取り上げられ、いろいろなピアニストの演奏で聴き比べました。
テンポやルバートがそれぞれ違ってこの回も聴き応えがありました。

で、冒頭にご紹介したルービンシュタインのop.32‐1。
この曲は最初はdurでゆったりとした曲なのに、最後に急に激しいmollになって終わる劇的な曲。
最後の音をよく聴いて下さいね。
H・D・Fis・Hのmollの和音で終わるはずなのに、ルービンシュタインはH・Dis・Fis・Hと、durです。
手持ちのパデレフスキ版の注釈によれば、ドイツのSchlesinger版はDに付けられた「ナチュラル」を「シャープ(♯)」と誤植したと書いてあります。
ルービンシュタインは「誤植」と言われる楽譜通りに弾いているのでしょうか?

ラジオの解説者がなかなか面白いことを言っていました。
曰く、ルービンシュタインは明るく前向きな人で、彼の演奏を聴くととても幸せな気分になる。
そのルービンシュタインの美学には、どうしても最後のmollは合わないから最後はdurでしめた・・・というのですが、案外これが真実なのかもしれませんね。
「このポジティヴな生き方が、90歳を過ぎても現役を続けられた秘訣だと思います。皆さん、明るく前向きに生きましょう」とラジオで呼びかけていましたよ。

参考までに、mollで終わるアシュケナージの演奏も貼っておきます。普通はこう演奏します。




*************************

トラ・・・・・・六甲おろしはdurやのに~008.gif
by ballade4fmoll | 2009-07-02 04:02 | 音楽 | Comments(14)
Commented by omuroninnnaji at 2009-07-02 07:58 x
ちょっと、寂しくなってきましたね
まあ、なんとか、なるでしょう、最後には
Commented by たーさん at 2009-07-02 10:00 x
雨の東京で聴いております。ええわー。
なるほど、彼は最後はやっぱりああ終わりたかったのかもしれませんね・笑
ルービンシュタインの演奏、好きです。人生を教えてください、先生・・!って気分になります。
そういえば以前、子どもがショパンのワルツ嬰ハ短調を発表会で弾くっちゅうことで、CDの聴き比べをしたことがありました。
瑞々しいキーシン、えー、とびっくりのホロビッツやディヌ、そしてやっぱり人生の喜びを感じさせてくれるルービンシュタイン・・。ほんとに十人十色ですね。ああ、ショパンの演奏も聴いてみたかったー!
最近この曲で、ラファウ・ブレハッチの意外に強気な演奏を聴きました(YouTubeで)。バラードさん、ブレハッチ君の演奏はどう思われますか?
Commented by さっちん at 2009-07-02 10:37 x
こちらは雨も上がり、湿気も少なく爽やかな朝です。
(トラさん・・・抜きで)

朝から気持ちのいい音楽を聴かせてもらいました。
さっそく楽譜を引っ張り出してきたら、Disになってたよ。
注釈がありフランスの原版にはDの短三度になっているとか。
同じ譜面から弾き手によっていろいろな違いがあって本当に面白いね。

私の頭の中はまだしつこく“ベルばら”が鳴ってます。
そろそろスィッチを入れ替えねば・・・苦笑
Commented by ballade4fmoll at 2009-07-03 02:34
omuroninnnajiさん
勝ちましたで~~~!
ブラゼル様様や~♪
Commented by ballade4fmoll at 2009-07-03 02:43
たーさんさん
ルービンシュタインの演奏を聴くと幸福感で満たされますよね。
「人生を教えて下さい、先生」とお願いしたら、ルービンシュタイン先生はニヤリと笑って「これから自分で何でもどんどん経験してごらん」と言われそうです。

ブレハッチ君は2005年のショパンコンクールで聴いただけなのですが、優勝決定後のガラコンサートのアンコールで弾いたドビュッシーの月の光がとてもよかったです。
ショパンもいいけど他の作曲家の曲も聴いてみたいですね。
ハンガリーに来て~~~!
Commented by ballade4fmoll at 2009-07-03 02:48
さっちんさん
トラ勝ったよ~~~! ブラゼル万歳!!

さっちんさんの楽譜はDisになってるの? ということはさっちんさんも弾く時はDis?
ちなみにどの出版社ですか? よかったら教えてね。
半音違うだけで曲の雰囲気ががらっと変わるから、聴き比べや楽譜の読み比べは面白いね。
Commented by さっちん at 2009-07-03 14:08 x
トラさん~~~!
新聞には「ブラ様」って書かれてあったよ。
よくぞやってくれましたっ!拍手もん!!!

私の譜面は、ごくありきたりの春秋社版だよ。
ちゃんと弾くにはやっぱりヘンレ版がいいのかなぁ~?
ショパンを弾くには、どれがいいのかなぁ~?

・・・もっとちゃんと勉強しとけばよかった・・・後悔ばかりだよ。
Commented by ballade4fmoll at 2009-07-03 19:40
さっちんさん
ショパンはヘンレ版よりパデレフスキ版の方がいいと思うけど、ショパンコンクールでは最近出たナショナル・エディション(エキエル版)を勧めてるみたいね。
ヘンレはベートーヴェンかなあ。
春秋社の楽譜って箱に入ってるやつでしょう? あれカッコいいよね。
Commented by マーシャ at 2009-07-03 22:19 x
私はクロイツァー版を持っているんですが、
この曲の最後はdisでした。注釈はなかったです><
なので自分で入れておきました(笑)
それにしても、たった1音で随分変わりますね~

聴き比べの番組、面白そうですが言葉が~~^^;
Commented by ballade4fmoll at 2009-07-04 21:26
マーシャさん
Disになってる楽譜たくさんあるんですね~!
実演や録音では、ルービンシュタイン以外Dしか聴いたことがないので(多分ほとんどのピアニストがパデレフスキ版を使っているからでしょうけど)、Disは相当珍しいと思ったのですが、そうでもないみたいですね。
最後の1音が半音違うだけで曲全体のイメージが大きく変わりますね。
私はやっぱり長年の慣れもあるし、Dの方がしっくりきます。
Commented by がんもどき at 2009-07-04 21:53 x
 同じ交響曲でも、ヨーロッパとアメリカの楽団では全然違う…と聞いたことがあります。
 前者は“伝統”を重んじるためか、新参の指揮者だとナメテかかる…。
 逆に後者は、ベテランであろうと新人であろうと、その指揮者の力量に従った忠実な演奏をする…。
 コレってホンマですかね?
 少なくともF1のパドックの様子を観ていて、「イタ公はしゃーないなー…(失礼!)」と思ったことがありますし、私自身も、昔フランスの某有名ブランドではバカにされた記憶があります。

 やっぱ真弓はクビやなー…
 代打の起用法や継投のタイミング…ドレ見てもアカン…。
 広大もっとガマンして使ったれよー。
 オレが監督やったら、「コラッ! 能見!! オマエ名前とは正反対で、全くの“能なし”やのー! 何回おんなじ失敗したら気が済むねん!! ずっと二軍行っとれ!!!」
 「セキ! 『必死のパッチ』の割りには、しょーもないセカンドゴロお手玉して、しっかり点取られたわなー!! オマエも二軍行くか?」

 スンマセン…ちょっとアタマに血が上ったもので…(^^;
Commented by ballade4fmoll at 2009-07-05 01:10
がんもどきさん
ここに住んでいるとアメリカのオケを聴く機会があまりないので何とも言えませんが、ウィーンフィルなど伝統のあるオケは新しい指揮者の指示に従わないと聞いたことがあります。
「なめんなよ!」と恫喝したり「俺様の音楽についてこれないのか」と挑発したり、あの手この手でオケを率いていくわけですから指揮者は大変ですね。

トラ、今年はさっぱりですなあ・・・。
2軍の若手と入れ替えたらどうでしょう。
ダブル野原(野原将志と野原祐也)なかなかいい感じですよ。
Commented by さっちん at 2009-07-06 10:26 x
バラードさん、2軍もしっかりチェックしているのですね!!!
ダブル野原をさっそくチェックしてみまぁす!

オケもお国柄で大分違ってくるのでしょうね。
いやはや率いる人は何事でも大変だと言うことでしょうか・・・?

話が元に戻りますが、
春秋社版を使っている理由として、
ある先生が、「日本の紙はしっかりしていていい!」
鉛筆で書き込みしやすいし、間違えて消しても紙がよれなくて・・という意味で仰ってたのを思い出しました。

私が学生の頃は、洋書が高かったように記憶しています。
作曲者によってこの版がいいよだなんて誰も教えてくれなったし・・・。


Commented by ballade4fmoll at 2009-07-06 21:36
さっちんさん
1軍と2軍合わせて「阪神タイガース」ですから!
右の「お気に入りリンク」のキドタローさんのブログは鳴尾浜情報満載ですよ。

確かに日本の楽譜は紙の質がいいですね。
ベートーヴェンのソナタ、高校生の時に買ったペータース版、こちらで買ったブダペストムジカ版はボロボロなのに、小学生の時に買った全音はまだしゃきっとしてます。(笑)
洋書は確かに高いよね。
今にして思えば私のお小遣いって楽譜と週刊ベースボールマガジンに消えてたわ~。


ハンガリー人の夫とブダペストで暮らす関西人のひとりごと


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