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エフゲニー・キーシン@バルトークホール

行ってきました~~~~~♪

Jevgenyij Kiszin (Evgeny Kissin) zongoraestje

2010. november 17. (szerda), 19.30
Bartók Béla Nemzeti Hangversenyterem

Műsor:
Schumann: Fantasiestücke, Op. 12,
Novelette, op. 21/8
‐‐‐
Chopin: 4 ballada


「ハンガリーに来て下さい」の直訴が功を奏して(?)キー様がなんと25年ぶりにブダペストに!

今から25年前の1985年、神童キーシン君は西側デビューの前にブダペストとベルリンでリサイタルをしました。
この2都市は共産圏ではあるものの西側との交流が活発で、「神童キーシン」を売り出したいソ連は彼がどこまで通用するか、まずこの2都市で様子を見たのでしょう。
その時の演奏を聴いた友人は「最初ステージに出てきた時に『この子は前座で何か弾くのかしら』と思ったの。まさかあんな小さな男の子がこんなプログラムを弾くなんて!と驚いたわ」と言っていました。
翌86年に初来日、その後の活躍は皆さんよく御存知の通りです。

話はそれますが、その昔、鉄のカーテンの向こうでひっそりと演奏活動を行っていたリヒテルがブダペストで弾いた時、たまたまウィーンから来ていた音楽評論家の耳に留まったのがきっかけで国際的な活動をするようになったと聞いたことがあります。
ベルリンの壁とソ連邦が崩壊するまでは、ブダペストは「西側に出るための大事なステップ」だったのでしょう。

今回のプログラムはヴェルビエやザルツブルグで既に披露済み。
ショパンのバラードは10年ほど前に録音したCDを持っていますが、CDより一回りも二回りもスケールの大きくなった夏の音楽祭の演奏を聴いて、早く生バラードを聴きたい!と心待ちにしていました。

会場はMupa(芸術宮殿)バルトークホール・・・何度も書いていますが私はこの会場が苦手です。
広過ぎてピアノリサイタルには不向き。
一体どの辺りの席をとればいいのかまだよくわかりません。
今回はシリーズ券発売の案内を読んですぐに事務所にシングルチケットの発売日を問い合わせたら「この席なら今すぐ手配出来ます」と回答のあった席を即座に申し込みました。

エフゲニー・キーシン@バルトークホール_f0021504_552272.jpg

本当はもう少し後ろの方がよかったのですけど。

写真でご覧の通りステージ上にも席がありました。
この会場でステージ上の席なんて初めて見ました。
もちろん満席、キーシンの人気の高さが伺えますね。

客席にはピアニストを始めハンガリーの音楽家が勢揃い、おまけにハンガリー大統領もご臨席。
興奮がいやが上にも高まります。
キーシンが出てくる直前に「今日の演奏は録音しますので、演奏中は出来るだけ物音を立てないようにお願いします」と招聘者から話がありました。
そのうちラジオで放送するのでしょうか?
バルトークラジオはインターネットでも聴けますので、もし放送予定がわかったらまたお知らせします。

いよいよキーシン登場。
シューマン「幻想小曲集」第1曲【夕べに】。ああ、なんという美しい音、優しく語りかけるような音。
昔キーシンのことを「指のよく回るピアニスト養成ギブス」なんてあだ名をつけた自分が恥ずかしいです。
うっとりして息をするのも忘れてただ聴き惚れました。

少し残念だったのは、幻想小曲集の途中から調律が少し狂いだしたこと。
ノヴェレッテに至る頃にはかなり音が狂って和音が濁ってしまいました。
キーシンの激しいタッチにピアノが耐えられなかったのか、あるいはお天気のせいなのか、それともあの会場のピアノが悪いのか・・・。

もちろんキーシンの演奏は極上で、私如きが言葉でその感動を表すことは出来ません。
苦手なシューマンが身近に感じられ、「私もノヴェレッテ練習しよう」と決意したほどです。


休憩中に調律をしていよいよ後半はショパンのバラード。
CDよりも、ヴェルビエよりも、ザルツブルグよりも更に進化し熟成されたバラード。
先月ワルシャワで聴いたショパンコンクールの記憶がすっ飛んでしまいそうなバラード。
もう~、こんなすごい演奏を聴いたらこれから先バラードを聴けなくなる~~~!

・・・ところがなんと! 第1番の最後のオクターヴ下降スケールが終わった瞬間に誰かが「ブラボー」と叫んで拍手したんです。
まだ曲終わってないやん! キーシンまだ弾いてるやん!
これが噂のフライングブラボーというやつですか?
もうびっくりして心臓が止まるかと思いました。
キーシンは苦笑いしてたけど・・・。

ブラボーおやじはしつこくバラード3番でも曲が終わる直前、キーシンが最後の和音を弾くかどうかの瞬間に「ブラボー!」
(なぜか2番ではフライングブラボーなし)
ちょっとちょっと~、どこの誰か知らんけどなんちゅうことするん?
最初に「今日の演奏は録音します」って言うてはったやん。ちゃんと聞いてたん?

バラ4は、以前聴いたツィメルマンの爆演がいつまでも耳の奥に残っています。
爆演も爆演、ツィメ様最後から3つ目の和音をミスタッチして思いっきりDurになって「明るく終わってどうするんですか、ツィメ様!」とツッコミを入れながら聴きました。
昨日のキー様はあの時にツィメ様に勝るとも劣らない迫力ある素晴らしい演奏で、さすがのフライングブラボーおやじも圧倒されたのでしょう。
演奏が終わって一瞬の間があってからじわじわと拍手が沸き起こり、会場全体を揺るがすような拍手喝采になりました。

これはハンガリーだけでしょうか。
拍手のタイミングを皆で揃えてゆっくりとパン、パン、パンと手を叩き、そのテンポを少しずつ速めます。
(上手く説明できませんがお分かりいただけるでしょうか?)
カーテンコールに応えるキーシンは物珍しそうな表情でした。

アンコールは3曲。
ワルツcis‐moll op.64-2
ワルツEs-dur op.34-1 (華麗なる円舞曲)
スケルツォ第2番

最後は客席全体がスタンディングオヴェイションでした。


さて、ここからミーハーネタです。
かねてから懸念のキーちゃんの髪の毛。
ステージに登場した時は落ち着いて(キーちゃんとしては)小さくまとまっていました。
演奏中も大爆発には至りませんでしたが、髪の一部だけが小爆発。
その姿はまるでアトム? トサカ? サイクリング用ヘルメット?
可笑しかったのが、拍手に応えて舞台に登場したキーちゃんが髪の毛を気にして何度も手で押さえていたことです。
そんなん気にせんでええのに。(笑)

それと、演奏中に何度か手で顔の汗を拭う場面があったのですが、汗を拭った手でピアノを弾いて滑らないんでしょうか?
それよりもなぜハンカチで拭かない?
ハンカチ用意してあげて下さい、ママ。

演奏が終了したのは夜10時頃でしたが、なんとなんとキーちゃんはその後ロビーでサイン会!
どんなけ体力あんねん~~~!
ミーハーな私はTwitterで知り合ったキーシンファンの方々とのお約束を遂行すべく列に並びました。
「いつか夜のガスパールを聴かせて下さい」
「はい、いつか弾きます」
「いつか」っていつですか~、キー様?

それと、遠目には気付かなかったのですがサインをいただく時に気付いて目が釘付けになりましたよ。
エフゲニー・キーシン@バルトークホール_f0021504_5574376.jpg




グランドピアノ柄ネクタイ!(写真が小さいけどわかりますか?)

それにしても、日常生活の延長上でキーちゃんを聴くとなかなか夢の世界から戻ってこられませんね。
私はウィーンでシューベルトのB-dur(D.960)を聴いて以来のファンで、日本では聴いたことが無かったのでこれまでのキーシン体験はいつもウィーンでした。
ウィーンに行って観光したり美味しいものを食べたり、その延長上に演奏会があって、演奏会の後はホテルで寝るだけ。
翌日も朝食はホテルだし、その後ものんびり過ごせるのに、昨日普通に仕事→帰宅→夕食の支度→コンサート会場に駆けつけ、今日もいつも通り仕事に行ったものの、今でもまだキーシンの世界から現実世界に戻ってこられません。
しばらくこのままぼ~っとした日が続きそうです。





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by ballade4fmoll | 2010-11-19 05:58 | 音楽 | Comments(14)
Commented by たーさん at 2010-11-19 08:54 x
恐怖のフライングブラボー・笑
そんなバンドがいそうですね。
たのむから最後まできかしたれや、ってすごみたくなりますよね。

うわー、さらに深くなったバラード、聴きたい。。
しばらくは幽体離脱してますね、きっと。
キーちゃんの髪型はもう麻痺してしまって気にならない私ですが(←おい!)、やっぱり先日の大学生とのトークからは目が話せませんでした。そんなこと聞くやつは地獄に堕ちろ?発言で間違いないでしょうか・笑

長調気分のツィメ様のバラード!爆
そ、そちらも聴きたいです~
Commented by Bebe at 2010-11-19 10:28 x
行ってらしたんですね。
感動が手に取るようです。
さらに進化したバラードって・・・。ヴェルビエでの演奏でも素晴らしかったのに。羨ましい~♪
フライングブラボーは興ざめですよね(怒)
私は演奏終わって鍵盤から手を離して我に返るその間がとて好きなのでがっかりしちゃいます。

汗を手で拭くのはヴェルビエでもそうでしたね。ママが忘れた?
ランランみたいにフェイスタオルをドサッと置いておくのもね~。
ネクタイは年季入ってますよね。それともお気に入りで同じのを何本もあるのでしょうか?特注??
Commented by  ちいこ at 2010-11-19 15:43 x
バラードさん、詳細なレポートありがとうございます!!
まるで自分がその場で聴いたかのような、臨場感でした~。
これもしネットで聴くことができたら
フライングブラボーに吹き出してしまいそうですww

ああ~それにしても「アトム」ヘアーのキーシン
見てみたい…これだけはラジオじゃ見られませんね。
超強力ポマードでも抑えきれないキー様の髪って
どんだけなんでしょう…触ってみたいww

そうなんですよ~コンサートの後ってなんにもしたくないのに
家を空けたためにいつもより山盛りの雑用が襲ってくるんですよね。
私も一度でいいから、ホテルに帰って寝るだけっていうのを経験してみたいわ~ww
Commented by マーシャ at 2010-11-19 21:56 x
進化したバラード・・
あの感動のバラードより、さらに?なのですね♪
ラジオ放送があれば是非教えてくださいね。

それにしても、フライングもフライング、とっても残念ですね・・
主催者の驚愕が目に浮かぶようです。

キーちゃんの小爆発、笑ってしまいました~
大でも小でもキーちゃんは気になるのですね。
早くなんとか解決してあげたいものです~(笑)

私も次の来日には、音楽柄ネクタイをプレゼントしようかしら^^
Commented by よし at 2010-11-20 17:15 x
ショパンコンクールや今回のキーシンなどすごい演奏会ばっかり聞かれたんですね。確かにキーシンのショパンは筋金入りだと思います。
ブラボーばかには罰金10万円か3ヶ月の演奏会入場停止処分にしたいですね。
Commented by ballade4fmoll at 2010-11-21 00:45
たーさんさん
ほんまに「最後まで聞かせたれや、ワレェ!」って言いたくなりましたよ。
(んまっ、私ったらつい地が・・・)
おまけに録音は録音でもCD用の録音だったという説があって、もしそうだとしたらあのブラボーおやじのせいでボツになるかもしれません。(号泣)
だってだって、いくらなんでもキーちゃんが弾いてるのにブラボーって声が入ったらCDに出来ないでしょう。
キー様、あのおやじに向かって言って下さい、地獄に堕ちろって!
F...でもS...でも何でもよろしおまっせ。

私はまだまだ現実世界に戻ってこられなくてキー様の夢の世界でボーっとしています。
いやぁ、えらいモン聴きましたわ。
Commented by ballade4fmoll at 2010-11-21 00:45
Bebeさん
行ってきました~。そしてまだ現実世界に戻って来れません。
バラードはもう・・・言葉がありません。
昔のCDも十分素晴らしいし、ヴェルビエでは更に深みを増したと感動しましたが、やっぱり生演奏は格別でした。
全身が音に包まれて夢の世界に連れて行かれました。

そこでフライングブラボーですよ!(激怒)
おまけにまだキーシンが弾いてるのに、ですよ!
信じられません。

手で汗を拭うのは実演で何度か見ました。
ハンカチを持たない主義なのでしょうか? 
ママ、「ちゃんとハンカチ持って行きなさい」と言って下さい。
Commented by ballade4fmoll at 2010-11-21 00:45
ちいこさん
あのフライングブラボーには会場全体が怒ってました。
ものすごく雰囲気悪くなりましたよ。
音が鳴り終わる前、とかいう時点ではなくてまだキーシンが弾いているのに「ブラボー」ですよ。
おいおい、おっさん、なに考えてんねん!
ちょっと裏に来てもらおか?
ドナウ川の水は冷たいでぇ~、と言いたくなりましたよ。

アトムキーちゃんを見て「一部爆発より全体が爆発した方が自然」だとわかりました。
やはりキーちゃんには大爆発ヘアが似合います。
Commented by ballade4fmoll at 2010-11-21 00:46
マーシャさん
ヴェルビエが完成形だと思っていたらまだ進化してました。
もう信じられないようなすごいバラードで、今まで聴いた誰のバラードもかき消されてしまいました。
久しぶりに会った友人に「ショパンコンクールどうだった?」と聞かれても答えられなかったんです。
記憶が全部消えてしまいました~。

録音は、上にも書きましたが、ラジオじゃなくてCD用だとの噂があります。
また詳しいことがわかればお知らせしますね。
Commented by ballade4fmoll at 2010-11-21 00:46
よしさん
今年のショパンイヤーはツィメルマン、ショパンコンクール、そしてキーシンの演奏を聴けて音楽的には大変充実した一年でした。
野球的にはかな~り不満が残りますけど。
ブラボーおやじ、一生入場停止にしてほしいです。
まだ最後の決めの和音二つ残ってるのに拍手ですよ、犯罪ですよね!
Commented by oonari- at 2010-12-06 14:47 x
はじめまして。
以前にハンガリーに旅行に行き、
ハンガリーのファンになっています。
そしてこちらのページにたどり着きました!
ずっと拝見していたのですが、
初めてのコメントです。
キーシンは私も大大大好きです。
またコメントさせてください。
これから益々寒くなると思いますが、
体をご自愛ください。
Commented by ballade4fmoll at 2010-12-06 15:48
oonari-さん
はじめまして。コメントありがとうございます。
ハンガリーのファンとお聞きすると在住者としては嬉しい限りです。
是非またハンガリーにお越し下さい。
もちろんコメントは大歓迎ですよ~♪ いつでもお気軽に書き込んで下さいね。

キーシンがお好きなんですね。
来年は日本でお誕生日ガラコンサートもあるようで楽しみですね。
演奏を聴かれたらまたお話聞かせて下さい。

それではこれからもどうぞよろしくお願いします。
Commented by ruby at 2010-12-09 08:36 x
はじめまして!
mixiからたどってきました。
私はスイス在住なのですが、11月末にスイスでのキーシンの演奏を聴きました。プログラムは同じでした。
いまさらですがキーシンは本当に巧いですね。でもなんか元気なかった気がします。

フライングブラボーはいただけませんね・・・。

ブダペストはとても行ってみたい都市のひとつです。
また遊びに来ます♪
Commented by ballade4fmoll at 2010-12-12 00:49
rubyさん
はじめまして。コメントありがとうございます。
スイスにお住まいなんですね。
私はスイスが大好きで若い頃何度も訪れました。
あんな素敵なところで暮らすなんて羨ましいです~~~♪

キーシン元気なかったんですか?
11/22のジュネーヴをキャンセルしたらしいので体調があまりよくなかったのかもしれませんね。

フライングもフライング、演奏中にブラボーなんて初めてです。
さすがにキーシンの集中力は途切れなかったけど、あまりのことにこちらの心臓が止まるかと思いました。

ブダペストにもこのブログにもまたお越し下さいませ。
これからもどうぞよろしくお願いします。


ハンガリー人の夫とブダペストで暮らす関西人のひとりごと


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